2011年9月16日金曜日

「電子書籍元年」の続きはどうなった?


シャープが昨日、電子書籍端末GALAPAGOSの販売を9月いっぱいで終了すると発表した。発表によると、GALAPAGOS向けにやって来た書籍・コンテンツ配信は各携帯キャリア経由で出しているGALAPAGOS携帯にて継続するとしていて、あくまでシャープ独自で展開しているWi-Fi対応機をやめるだけという言い方をしている。

シャープの独自端末は原則ネットを通した販売オンリーで、ヨドバシカメラなど一部の店舗で購入を取り次いできたものの、月に数台売れればいい方だったとかで、明らかに販売方法を読み誤った結果と言えそうだ。いや、この方法は私に言わせれば「ハナから売る気がなかった」としか映らない。シャープが「ここで買えますよ」と客を誘導した形跡がほとんど見受けられなかったのだから。アップルが成功したのだからうちも、と言う思いがあったのだろうか。

いずれにせよ、シャープが電子書籍事業でつまずいた、そのことを業界に知らしめたニュースと言うしかないだろう。あるいはこれを“朗報”と捉えた同業者もいる気がしてならない。ライバルが1つ消えた、というよりは「うちもこれで撤退しやすくなる」と思ったのではないか?

iPadが日本で発売されてから1年4カ月。「すわ電子書籍元年だ」と騒いだのがウソのように、最近の電子書籍を取り巻く動きは穏やかだ。業界内の連合、企画サークル作りの動きなどはたびたび伝わってくるが、具体的にこういうサービスが始まる、わーすげー!、なんて話は一切ない。だが、出版界における危機感だけはじわりじわりと広がっている。

おそらく向こう3年は、試行錯誤が突くのだろうと思う。規格・端末の乱立が電子書籍業界立ち上げにとってマイナスであることは関係者誰もが解っているはずで、どの方向にまとめていくかを模索しつつ、覇権を競って行くことだろう。だがその中での本命が見えてこないところが気になるところ。また、取次業者を中心とした出版界の古い体質がそのまま電子書籍の世界に移行しようとの動きがあるのもネガティブな要素だ。

そんな中で出てきたシャープの動き。下手なターニングポイントにだけは、なって欲しくないものだ。

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