2011年9月4日日曜日

黒い鳥人、ゴーカイに甦る


番組も折り返しに差しかかった「海賊戦隊ゴーカイジャー」、ここに来て一段と脂がのってきた感じだ。予定の映画2本も充実した内容の中で消化し、演じている若い役者も演出も脚本も、ノリノリの様子が映像から伝わってきている。そしてそのいいリズムに引き寄せられたのか、番組の売りである過去戦隊からのゲスト戦士も我々長年のファンの期待に見事に応えてくれている。本日(9月4日)放送の回はその頂点と言えた(このあとも期待は高まるが)。

きょうの放送は鳥人戦隊ジェットマンの大いなる力をゴーカイジャーたちが手に入れるというお話。

このジェットマン、1991年放送の、戦隊シリーズ15作目に当たる作品だ。戦隊ものの主要対象年齢は5歳から10歳といったところだが、このジェットマンはいささか事情が異なる。90年代初頭といえば、バブルの絶頂期。テレビ界ではハイソへのあこがれを絵に描いたトレンディドラマが全盛だった。その流行りを戦隊ものも取り入れたというわけだ。というのも、10作を超えた戦隊ものもこの頃、マンネリ化が顕著となり、シリーズ終了も検討されたといわれている。ならば思いきったものをと企画されたのがジェットマンだった。対象年齢を少し上げ、ヒーロー物では禁じ手とされていたメンバー間の恋愛模様を真正面から採り入れたジェットマンは、まさに戦隊シリーズの曲がり角となった。

だがこのジェットマンには、シリーズ切っての問題児でもあった。最終回、最後の最後のシーンでメンバーの一人、ブラックコンドルこと結城凱が暴漢に刺されて死んでしまうのである。敵の怪人とかではなく、ただのその辺のチンピラにである。子供番組かよ。

この一件が実は、今年のゴーカイジャーを企画する際、最大のネックになったそうだ。一人死んでいるヤツがいるんじゃ過去の戦隊全員集合は成立しないじゃないか、と。結局あとで折り合いを付ければいいという判断になったのだろうが、その折り合いを付けなければならない回がここにめぐってきたというわけだ。そこでスタッフが白羽の矢を当てたのが、当時の脚本を書いた井上敏樹氏だった。平成ライダーシリーズなどで数々の問題作を繰りだしてきた井上氏は、自らのペンで手を下した結城凱を弔うかのような脚本をぶつけてきた。

で、今回のゲスト戦隊戦士は結城凱・若松俊秀の登場となった。あれから20年、当時ええかっこしいだった凱は真にカッコイイ大人となって帰ってきた。

でも、なぜ死んだはずの凱がゴーカイジャーたちの前に現れたのか。と考えながら見ていると、ゴーカイジャー唯一の地球人で戦隊オタクのゴーカイシルバーだけ、凱の姿が見えない。見えないどころかその存在すら認識できない。はてさてその理由は…。そして凱がゴーカイジャーたちの前に現れた理由は?ほかのジェットマンたちは?もう小憎らしいばかりの演出が次から次へと画面に現れる。もう、長らく戦隊ファンやって来て本当によかった。そう我らに思わせる、井上敏樹らしからぬファンサービス満点の25分だった(ネタバレ防止のため詳細は自重)。

今月はこのあと「爆竜戦隊アバレンジャー」「超獣戦隊ライブマン」「超力戦隊オーレンジャー」のエピソードが続くとのこと。楽しみすぎる秋の日曜日だ。


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